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ありのまま [観]

昨晩、再々演「キンキーブーツ」プレビュー初日を観てきました。

実は私この作品は初見。
すっごく良かった。
しみじみとしたり、笑ったり、じーんと来たり。
良い作品です。

観客も歌が始まれば常に手拍子でノリノリ、
最後は全員で盛り上がり、
振り返れば(1階前方席だったので)3階席の後ろまで総立ちのスタンディングオベーション。

大変盛り上がりました。

***
父親が急死し、崖っぷちの靴工場を継いだチャーリー役は初演からの続投小池徹平さん。
生真面目で繊細で、でもがむしゃらなエネルギーを持つチャーリーを演じてました。
なんだろう小池@チャーリーの持つ、この透明感と清潔感は。

大ピンチの靴工場を変える鍵となったのは、偶然チャーリーに助けられた(?)ドラァグクイーン(=女装パフォーマーというのかなぁ)の城田優さん演じるローラ。

城田@ローラは目が離せなくなる。
とても魅力溢れるローラです。

が、ものすごくデカイ。が、第一印象。(いや。城田さんの舞台はほとんど観てるのでデカイのは十分わかってるんですよ。分かっていてもの意です。)
何しろ190cmの人が約20センチのヒールの靴を履くわけですから、その大きさ半端なし!
なんという存在感。圧倒的です。
男性たちに絡まれる登場シーンで「大〜きな子猫ちゃん」と言われるセリフにはコクコク心の中でうなづいてしまいました。(子猫と言いながら大きいって!確かに。)

当然ながらヒールを履いたローラとチャーリーは身長差がものすごい。
多分40cmくらい身長の違う凸凹コンビですが、それもまた狙いのようにハマっていました。
各々の個性が逆に際立つというのかな。

***
身体や態度は大きいのに心は繊細で、発言は大胆ながらも実は心優しいローラ。
ローラもまたチャーリーとの出会いで、自分の持つデザイナーとしての才能を開花させる。

綺麗なものが大好きな男の子だった幼少期。
女々しいことをするな男らしくなれと、ありのままの自分を受け入れてくれない父親との確執を感じながら成長するローラは、父親の望む姿になろうとボクシングにも挑戦したが、結局故郷を捨てる。

男は男らしく育ってほしいと自分の理想を押し付ける父親に、ありのままの自分を愛して欲しかったんだろうなぁと思う。
この辺りのお話は「ビリー・エリオット」や「ジェイミー」に似ていますね。前者は最後に受け入れられ、後者は最初から最後まで拒絶されてしまいますが。
ローラの場合は、そのどちらでもない感じでした。それも切ないですね。

***
でも、最後はハッピーな気持ちで劇場を後にできる。
本当に良い作品でした。

観終わったら、また観たくなりました!
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脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞:シンディ・ローパー
演出・振付:ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力/上演台本:岸谷五朗
訳詞:森 雪之丞
出演:小池徹平、城田 優、ソニン、玉置成実、勝矢、ひのあらた 他

***
余談:
初演、再演でローラを演じたのは故三浦春馬さん。
オーディションを受けてこの役を掴み、引き継いだのが春馬さんの友人である城田さん。
春馬さんと初演・再演を一緒に演じてこの作品を作り上げたチャーリー役の小池徹平さんは、城田さんとは高校の同級生だそうで...なんというか輪のような繋がりを感じます。

初日、二人の胸にどんな想いが詰まっていただろうと思うと、その辺りもとても切ないです。
心に、消えることのない存在を感じていたに違いありません。

小池さんがカーテンコールの際
「許されるなら、このメンバーで最後まで走り抜けたい」と、おっしゃってました。
「もちろんだとも!」と、また心の中でコクコクと首を縦に振りました。

そして思ったのは、違っていて良いということ。
同じじゃなくていい。(春馬さんには春馬さんの、城田さんには城田さんのローラがあっていい)
これはこの作品のテーマである「ありのまま」に繋がるんじゃないかな。
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