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こんにちは、母さん [観]

お友達にムビチケを頂いたので、今日観てきました、吉永小百合さん&大泉洋さん主演の「こんにちは、母さん」
監督は山田洋次さん。
現代の日本の縮図のようなお話でした。
悲哀と、でも、クスっと笑えるところもあって、ちょっとほっこりして安心して見ていられる映画でした。

隅田川の側、向島で足袋屋を営む母さんの恋と、離婚問題と仕事(大会社の人事部長)に毎日頭を悩ます息子を中心としたお話し。
毎日の暮らし。普通に生きていくのも大変だし、良いことも悪いこともあるけれど、
人間いくつになっても「まだ若い。これからいくらでも道を選べる」ってことが伝わってきた映画でした。

吉永小百合さん、78歳。見えない。全く見えない。
背筋が伸びて足取り軽く。こんなにスっとした綺麗な後期高齢者がいるのねぇ。ほんとにお美しい。

登場人物の中で、特に存在感があったのが、ホームレスを演じる田中泯(みん)さん。
なんだ、あの存在感は。めちゃめちゃすごいぞ。
本業はダンサーらしい。
吉永さんと同じ78歳。
すごいな今の78歳は。

歳を取るのが怖く無くなる。
いや、あの二人が特別なのかもしれないけれどねw

***
染みたセリフ。リストラを押し進めなければならない立場の息子が、実家でご近所のせんべい屋さんの手焼きせんべいをかじりながら「こういったものは人間を慰めるためにあるんだな。腹の足しというか心の足し。人間を慰めるためにあるんだ。(略)こういう仕事は裏切らないからな。」
小さな仕事でもどこかの人を喜ばせている仕事であると気づく場面。

観客に笑い声が出る場面。息子の大学時代からの親友(同期入社)がリストラの対象で、「なぜ言ってくれなかった。俺は辞めないからな。」と、母さんの家に訪ねてきて。二人は二階でもみ合いの大げんか、喧嘩の末、親友は息子の靴を片方間違えて履いて飛び出していく。深刻な中の笑いのツボにみんな同じタイミングで笑ってた(映画館ならではですねぇ)

残した片方を持って息子の娘(孫)が後を追い、無事に渡すと親友が「(息子は)いい靴履いてる。俺とは違う」と揶揄ると、父に反発していた娘のはずなのに「お父さんは昔から靴を大切にする。足袋屋の息子だからかな」と返す場面。娘はちゃんと見ているところは見ているのだと温かくなりました。

人と人はどこか横で繋がってるし、過去と現在という縦にも繋がっているんだなぁ。
と、しみじみ感じた作品でした。

***
余談:映画の冒頭で、チラリと丸の内にあるビルが映っていた。
今現在はその姿はなく、解体中。いや、そろそろ終わった頃なんですよね。
前川國男さんの設計(ちなみに先日行った東京文化会館も前川國男さん設計)。

その建築は外側は一見シンプル&堅固。でも、その内側に独特な工夫と個性があって、いつまでも色褪せない魅力がある。
設計した唯一の高層建築(だと思う)、その解体はものすごく残念だった。
でも、映画の中にその時代の姿や景色は残っていくのだな。
と、映画の冒頭を観て思いました。映画の内容とは全然関係ないのですけれどねw

余談2:出演のアラウンド80組もすごいけれど、さらに山田監督が90代ってのが凄い。
ちなみに映画の監督は90本目だそう。うわー。
寅さんシリーズがあるからだわね(寅さんは脚本も書いてます)。
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