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奈良! [聴]

仕事帰りに新聞社主催の講演会に行ってきました。
第二部に奈良在住、映像作家の保山耕一(ほざんこういち)さんのトークショーがあるということで抽選申し込み。
前々からその映像のファンで、一度大画面で見てみたいと思っていたのですが、上映会は奈良のみ。
ご本人が癌闘病中ということで、関東で観ることは叶わないかなと思っていたので、
映像の上映&本人の登壇というまたとない機会でした。

5分くらいの映像を3本紹介。その間に司会者とのトーク。
まずは昨日撮りたてという春日大社神苑の藤、萬葉植物園の藤。
その圧倒的な映像美に見入りました。

雨にうたれる花弁のアップ。その端についた小さな水滴の中に藤が映り込む。
引きで撮られた満開の藤の房は見事で圧巻。今まで観ることの多かった藤の植えられ方と違う。
その幾重にも重なった花房の密集度はものすごい存在感。こちらまで香りがしてくる様。

満開の藤の圧がありながらも、早朝朝イチで撮ったというその場所はスーっとした清涼感を感じる。
気高く、静かで、美しく、尊い。
これはもう神々への捧げ物のお裾分けなんだなぁと感じました。

その静かな迫力に見入り、自分がその映像の中に溶け込む様な感覚を覚えました。
自分の住む世界はなんと美しいんだろうと感じました。=日本は美しい=奈良は美しい。

2本目は初夏の風景。日本の原風景というのかな。緑。
山の辺の道、明日香、棚田、里山。
特に棚田に張られた水に映る空の雲の流れの美しさは本当に感動的。
圧巻。現代日本にもこんな風景があるんだ!
少し日が傾いてきた頃の光には不思議な空気感がありますね。
マジックアワーというのかな。
1000年以上続くこの光景はどんどん時代の変化とともに失われてしまうのでしょうか。
この風景がまた次の時代にも残っていて欲しいなと思うほど心動かされ、心惹かれました。

3本目は夜。闇。
夜なんだけど、真っ暗なんだけど。刻々と変化するのねその世界も。
月が明るい。水の中には月の光で道が出来る。闇の中に星が光る。

おまけにお隣に座ったおじさんの膝に置かれたスマホの画面が光って気がそがれる。
スマホ消せ!(怒)音がしなければいいと思っている人が多いが、暗い中その光はかなり目立って、ものすごく迷惑なんですよ。
これには映像に没頭出来ず悲しかった。
主催の人が始まる前に電源を切る様に全体に注意していたのになぁ。

話は戻って、
保山さん、トークもウィットに溢れて楽しかった。
ツイッターもかなり前からフォローしているのですが、どちらかといえばダメだ、もうダメだみたいなツイが多くて、ネガティブな方なのかと思っておりましたが、
思わず吹き出す様な笑いのセンスに溢れ、話のネタの引き出しも一杯で、柔らかな温かさ、人間味溢れる素敵な人物でした。
映像カメラマンは厳しい自然の中に身を置く時間も長いでしょうが、体調に気をつけつつ、これからも素晴らしい時間を過ごし、また美しい映像を撮って欲しいです。

その日撮った映像を一つにまとめる、加工しないそのままの色、などにこだわりを持っているそうです。
だからスーっと溶け込む様に見られるんだなぁと思いました。
その繋がりはとても自然で、ずっと眺めてられるのです。

まさに映像詩でした。

そして、第一部の名城大学の米澤貴紀先生の講演も、これがすごく良くて、
建築学科の先生ということで、春日大社の建物からのアプローチ。
すごく見所を教わった感じがしました。すぐにでも奈良へ。春日大社に行きたくなりましたw

ここ数年のマイブーム御朱印巡りで今までになく神社仏閣を見る機会があるので、
とてもその造りが気になっていたのでした(昔の建築物が好きというのもある)
どうして鮮やかに塗られた神社と色の塗られていない神社があるのか、彫刻のある神社とない神社があるのかとか、豪華な神社と素朴な神社の違い。常々感じていた疑問を一挙解決してくれましたw(一つ書いておくと、彫刻がつく様になったのは江戸時代以降らしい)

おまけに屋根の説明やら、瑞垣、舟肘木、千木、鰹木、破風板などの部材の説明はとてもわかりやすく、興味深く、ここを見ればさらに面白いというお話がたっぷりで、
これから奈良に行く時だけでなく、身近な神社仏閣を見るときにも役立つお話がたっぷりでした。

研究を重ねている専門家の知識の蓄積っていうのはすごいものですね。

***
いい時間を過ごさせていただきました。
またその道のスペシャリストにお話が聞きたい。

なんとこの企画28回目なんだそうで、全然知らなかった。
またぜひ参加したいです。
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