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Hair Spray 東京千穐楽 [観]

2年前コロナ禍のため中止となった「ヘアスプレー」。

その復活(?)公演、日本初演「ヘアスプレー」。
東京千穐楽です。
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人種差別が色濃く残る1962年。
アメリカ・ボルティモアが舞台。
天真爛漫なちょっとぽっちゃり目の女の子、トレーシーが主人公。

偏見のない両親に、愛情深く育てられたトレーシーは差別意識のない女の子。
「白人と黒人が一緒にダンスを踊れないなんておかしい!」
そんな疑問から、みんなを巻き込んでその突破口を開こうとする。
(乗るバスが分けられていたり、水飲み場が分けられていたりというのは聞いたことがあるけれど、その頃は一緒に踊ることすら分けられていたのですね。)

もう、幕からして可愛い!
60年代の音楽とカラフルな衣装。
そして愛すべき人物たちが(それは敵役でさえも)巻き起こす騒動。
最後まで目が離せない。

なんと楽しく愛すべき作品なんでしょう。

感心したのはトレーシーを演じた渡辺直美さん。
歌唱、ダンス、表現力、そして体型(!)、完璧。
トレーシー役にこんなにピッタリな人材がいたとは!
ほんとに、まんまトレーシーでした。

うんと楽しく大盛り上がりで幕を閉じるのですが
「良かった。なんて素敵なハッピーエンド!」って思いながら、涙がチョチョ切れる。
あれ?なんで?幸せな気持ちになりながら、涙が出てくるんでしょ。
あ。これが感涙か。

楽しい気分で気持ちよく帰れる。
気持ちが明るくなる作品でした。

***
脚本:マーク・オドネル/トーマス・ミーハン
歌詞:スコット・ウィットマン
歌詞・音楽:マーク・シェイマン
演出:山田和也
翻訳:浦辺千鶴
訳詞:高橋亜子

出演者
トレイシー:渡辺直美
リンク(コニー・コリンズ・ショーの出演者。トレイシーの憧れ):三浦宏規
ペニー(トレイシーの親友):清水くるみ
アンバー(コニー・コリンズ・ショーの出演者。トレイシーのライバル?):田村芽実
エドナ(トレイシー母):山口祐一郎
ウィルバー(トレイシー父):石川禅
メイベル(コニー・コリンズ・ショー ブラクデーのMC、シーウィードの母):エリアンナ
ヴェルマ(アンバー母):瀬奈じゅん
コーニー・コリンズ(コニー・コリンズ・ショーのMC、トレイシーの理解者):上口耕平
シーウィード:平間壮一
スプリッツァー (ヘアスプレーの会社の社長: 川口竜也)


***
余談:
キャラクターでお気に入りになったのは、清水くるみさん演じるペニー。
ペニーのふにゃふわっとした性格に合わせたあの身体の特徴的な動きが役柄にピッタリはまってて、細かく演じてて目が離せなかったです。

トレーシーの両親たちもほのぼのと可愛らしい夫婦で、見ていると心が温まりました。
だんだんトレーシーを含めて本当の家族みたいに見えてきて(似ても似つかないのに!)良いバランスだったなぁ。

映画でジョン・トラボルタが演じていたエドナ(トレイシーの巨漢ママ)を演じるのは山口祐一郎さん。あれだけ巨大に身体を作ってても山口祐一郎さんのエドナは美人さんでした。
パパは石川禅さん。これがまた最高なマイホームパパを演じてこれが見事にハマってて、
お二人の役柄の幅の広さってすごいな。と思いました。
だってジャン・バルジャンとジャベールですよ。トート閣下と皇帝フランツですよ。吸血鬼のクロロック伯爵とプロフェッサー アプロンシウスですよ。
過去の作品を思い返してみるとめちゃくちゃ豪華なパパとママでした。
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ありのまま [観]

昨晩、再々演「キンキーブーツ」プレビュー初日を観てきました。

実は私この作品は初見。
すっごく良かった。
しみじみとしたり、笑ったり、じーんと来たり。
良い作品です。

観客も歌が始まれば常に手拍子でノリノリ、
最後は全員で盛り上がり、
振り返れば(1階前方席だったので)3階席の後ろまで総立ちのスタンディングオベーション。

大変盛り上がりました。

***
父親が急死し、崖っぷちの靴工場を継いだチャーリー役は初演からの続投小池徹平さん。
生真面目で繊細で、でもがむしゃらなエネルギーを持つチャーリーを演じてました。
なんだろう小池@チャーリーの持つ、この透明感と清潔感は。

大ピンチの靴工場を変える鍵となったのは、偶然チャーリーに助けられた(?)ドラァグクイーン(=女装パフォーマーというのかなぁ)の城田優さん演じるローラ。

城田@ローラは目が離せなくなる。
とても魅力溢れるローラです。

が、ものすごくデカイ。が、第一印象。(いや。城田さんの舞台はほとんど観てるのでデカイのは十分わかってるんですよ。分かっていてもの意です。)
何しろ190cmの人が約20センチのヒールの靴を履くわけですから、その大きさ半端なし!
なんという存在感。圧倒的です。
男性たちに絡まれる登場シーンで「大〜きな子猫ちゃん」と言われるセリフにはコクコク心の中でうなづいてしまいました。(子猫と言いながら大きいって!確かに。)

当然ながらヒールを履いたローラとチャーリーは身長差がものすごい。
多分40cmくらい身長の違う凸凹コンビですが、それもまた狙いのようにハマっていました。
各々の個性が逆に際立つというのかな。

***
身体や態度は大きいのに心は繊細で、発言は大胆ながらも実は心優しいローラ。
ローラもまたチャーリーとの出会いで、自分の持つデザイナーとしての才能を開花させる。

綺麗なものが大好きな男の子だった幼少期。
女々しいことをするな男らしくなれと、ありのままの自分を受け入れてくれない父親との確執を感じながら成長するローラは、父親の望む姿になろうとボクシングにも挑戦したが、結局故郷を捨てる。

男は男らしく育ってほしいと自分の理想を押し付ける父親に、ありのままの自分を愛して欲しかったんだろうなぁと思う。
この辺りのお話は「ビリー・エリオット」や「ジェイミー」に似ていますね。前者は最後に受け入れられ、後者は最初から最後まで拒絶されてしまいますが。
ローラの場合は、そのどちらでもない感じでした。それも切ないですね。

***
でも、最後はハッピーな気持ちで劇場を後にできる。
本当に良い作品でした。

観終わったら、また観たくなりました!
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脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞:シンディ・ローパー
演出・振付:ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力/上演台本:岸谷五朗
訳詞:森 雪之丞
出演:小池徹平、城田 優、ソニン、玉置成実、勝矢、ひのあらた 他

***
余談:
初演、再演でローラを演じたのは故三浦春馬さん。
オーディションを受けてこの役を掴み、引き継いだのが春馬さんの友人である城田さん。
春馬さんと初演・再演を一緒に演じてこの作品を作り上げたチャーリー役の小池徹平さんは、城田さんとは高校の同級生だそうで...なんというか輪のような繋がりを感じます。

初日、二人の胸にどんな想いが詰まっていただろうと思うと、その辺りもとても切ないです。
心に、消えることのない存在を感じていたに違いありません。

小池さんがカーテンコールの際
「許されるなら、このメンバーで最後まで走り抜けたい」と、おっしゃってました。
「もちろんだとも!」と、また心の中でコクコクと首を縦に振りました。

そして思ったのは、違っていて良いということ。
同じじゃなくていい。(春馬さんには春馬さんの、城田さんには城田さんのローラがあっていい)
これはこの作品のテーマである「ありのまま」に繋がるんじゃないかな。
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